ごあいさつ

理事長洲鎌 盛一
にぬふぁぶし診療所・訪問看護ステーションを次世代へ。
1922年(大正11年)3月15日生まれのMさん(女性)が2023年(令和5年)5月に101歳で天寿を全うし、高齢者施設で、看取りを行いました。
85歳の時に、私が大動脈弁置換術を行い、定期的に外来通院治療を続けていましたが、数年前より自力歩行が困難、介護が必要になり高齢者施設に入居しました。長年、私の外来に通い続けたこともあり、訪問診療でMさんを診ていくことにしました。認知症も進行し、私の名前も忘れ、会話もできなくなり、声を発するだけのMさんを見ると、老いて人生の最終段階に入っていくのは、こういうことだと、あらためて実感させられました。
そんなMさんでしたが、施設で100歳の誕生日のお祝いをすることができ、偶然に訪問診療の日が誕生日だったので、一緒に記念写真を撮ることができました。着飾った琉装のMさん自身は嬉しかったかどうかは分かりませんが、少なくとも苦痛の表情は有りませんでした。
難治性の下肢褥瘡で長期間悩まされましたが、一年後、最後は人工呼吸器をつけることもなく、点滴で縛り付けられることもなく、安らかに看取ることができました。そばには、ご家族も一緒でした。
長期にわたり外来通院で診てきた患者・心臓手術後の患者さんを、高齢化しても在宅でもみていきたいと思い、訪問診療を始めました。急性期医療と在宅医療は車の両輪と同じで、急性期で救った患者さんは、人生の最終段階においても全人的な医療提供は必要と考えています。そんな思いから、まちなと内科在宅クリニックの大濵先生との出会いもあり“にぬふぁぶし診療所・訪問看護ステーション”を新築しました。
一方で、厚生労働省において、地域包括ケアシステムの実現へ向けての取り組みが進行しています。高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的で、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築です。住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるシステムの実現を目指しています。
またコロナ禍における急性期病院の医療逼迫は、急性期医療のみでは医療は成り立たないことを私たちに教えてくれました。状態が悪くなっても入院できない高齢者、満床で急性期医療の必要な患者受け入れができない救急医療逼迫が現実におきました。結果として、在宅医療・訪問看護の充実・連携がいかに必要かを教えてくれました。国の政策である、地域包括ケアシステムの考え方が、より重要視されてきています。
急性期と介護・在宅医療との連携が重要視される中で、“にぬふぁぶし診療所・訪問看護ステーション”の役割・ミッションを、私たちは再認識する必要があります。
外来部門では循環器内科・呼吸器・生活習慣病(高血圧、糖尿病、高脂血症)を中心とした一般内科にも対応できるような体制づくりを進めていきたいと思います。より専門的な一面も備えつつ、健康相談的な気持ちで、気軽に訪れてもらえるような雰囲気も作っていければと思っています。当然ではありますが、診療所で完結できない症例は牧港中央病院、浦添総合病院など、より高度な医療提供ができる近隣の連携病院への紹介も行ってまいります。
地域に根ざした“にぬふぁぶし診療所・訪問看護ステーションの役割とは何か?”を常に念頭に置き、次世代に繋いでいきたい。

院長大濵 篤
皆さん、ようこそ。『にぬふぁぶし』のHPへ。
令和6年5月1日に、まちなと内科在宅クリニックが国道58号線沿い牧港1丁目に新築移転しました。それと併せて、『にぬふぁぶし診療所』と名を変えました。と同時に『訪問看護ステーションにぬふぁぶし』を起業致しました。
ところで『にぬふぁぶし』とは、沖縄の方言で『北極星』のことを指します。「てぃんさぐの花」に唄われているように、地球からみて北極星はほとんど動かないということで夜間の航海の目印にしていたそうです。
令和7(2025)年になり、団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になりました。また、県民の四人に一人が高齢者(65歳以上)であると見込まれています。先日の新聞記事に県立中部病院感染症内科 高山義浩先生による厳しいコメントがありました。
介護など必要がなく健康的に生活できる期間を示す『健康寿命』。3年に1度の厚労省の調査で、2022年の沖縄県は女性が74.33歳で46位(前回25位)、男性が71.62歳で45位(同40位)。介護の入り口にあるとも言える前期高齢者(65歳以上、75歳未満)が生活習慣病を抱えていてもかかりつけ医と繋がっていない現状にあるとのことです。
ここで私ども外来診療(一般内科・循環器内科・呼吸器内科・老年内科)では、食習慣や運動を呼びかける一次予防、そして生活習慣病と指摘された人の合併症を防ぐ二次予防をしっかりと行なうことを始めました。また後期高齢者の方や通院困難方には、訪問診療、訪問看護・訪問リハビリなど、多職種と密に連携し対応して参ります。